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■特集インデックス >> 大動脈瘤  >> 心臓弁膜症  >> 心房細動

大動脈瘤

サイレントキラー

大動脈瘤は自覚症状のない場合が多く、 ほとんどの患者さんは偶然に発見されています。 最大の症状は大動脈瘤の破裂により、死に至ることです。 このため、 生来健康で病院にかかったことのない人などが、 突然の胸部痛や腹部膨満感の出現とともに急速にショック状態に陥り死にいたることが多いため、 サイレントキラーとも呼ばれます。 作家の司馬遼太郎さんをはじめ、 最近では俳優の藤田まことさんや作家の立松和平さんがこの病気で命を落とされています。 最も大切なことは、 破裂する前に診断され適切な治療を受けることです。 破裂する前に発見された大動脈瘤の患者さんたちの多くは、 適切な治療によりなんら障害を感じることもなく、 元気に社会生活を謳歌しておられます。

大動脈とは?

生きるために必要な栄養や酸素を全身に供給するために、 心臓から血液が送り出されます。 心臓から送り出された血液は直径2cmほどのチューブを通って各臓器に送り込まれます。 全身の血液が通過するチューブを大動脈といいます。 大動脈は心臓の出口からスタートし、 心臓の筋肉、 上肢、 脳、 脊髄、 胃や小腸、 肝臓などの腹腔臓器、 腎臓に血液を供給しながらお臍の下あたりで、 左右に分かれていくまでの一本の太い血管です。若い人の大動脈は弾力性があり、血液の圧力(血圧)をしなやかに受け止めます。
図1には大動脈の分類を示しています。 横隔膜より心臓よりの大動脈を、 胸部大動脈、 横隔膜より下の動脈を腹部大動脈と言います。
大動脈
  図1 大動脈

大動脈瘤とは?(図2)

大動脈が動脈硬化により硬くなってくると、 血管の壁に傷ができやすくなったり、 壁の弾力性が失われて、 血圧をもろに受けとめていくことになります。 そうなると、 大動脈の一部が血圧に耐え切れなくなり、 脆いところから拡張し始めるのです。正常の大動脈径は 1.5cm~2.0cmくらいで、 その直径が2倍を超えるようになると、大動脈瘤と呼ばれる状態になります。
大動脈瘤は風船と同じように、 小さい時は強いカで息を吹き込まないとなかなか大きくなりませんが、 一旦大きくなると容易に拡張し、 最終的には破裂する危険があります。
嚢状瘤の場合、紡錘状に比べて破れやすい
図2 大動脈瘤の形態

大動脈瘤の原因は?

多くの場合が動脈硬化症です。血管の老化現象である動脈硬化は、 高齢の方に多く、 さらに高血圧症や、糖尿病、 喫煙者、 脂質異常症(高脂血症)の患者さんはより早く進行します。 また、 遺伝的に血管の弱い患者さんもおり、その場合にはより若い時に動脈瘤が生じることがあります。

治療は?

大動脈瘤は自然に治癒することはありません。腹部大動脈瘤の場合は大きさが直径5cm、胸部大動脈瘤は6cmを超えるようになった場合に、手術治療が検討されます。手術はこぶ状になった大動脈を人工血管に置き換える手術を行います。人工血管は化学繊維 (ダクロン)を網目状に織ったチューブ型のもので耐久性も数十年以上ありますから、まず入れ替えの必要はありません。大動脈瘤手術の手術成績も、近年非常に向上しており手術の危険率は一般に腹部大動脈瘤の場合で数%、胸部大動脈瘤の場合は10%前後です。さらに最近では動脈瘤の部位などによって、侵襲の少ないステント挿入術が行えることもあります。但し高度な手術技能と総合的な管理を要しますから、実績のある専門施設で行われます。

日常の注意

手術治療と判断される前の大動脈瘤の患者さんにとって大切なことは、血圧の厳重なコントロールです。 また禁煙することや糖尿病や脂質異常症の管理も重要です。さらに半年から一年ごとに動脈瘤の検査(CT検査など)を受け、大きさや形態の変化を観察し続けます。急激な温度変化を避け(特に冬場)、便秘などにも注意が必要です。

まずは・・・・

高血圧症や脂質異常症などで治療されている方は、一度胸部や腹部のCT検査を受けられることをお勧めします。
当科では、多くの患者さんに大動脈瘤手術を行い極めて良好な成績を挙げております。

胸部大動脈瘤の手術例   腹部大動脈瘤の手術例
図3 胸部大動脈瘤の一例(手術例)   図4 腹部大動脈瘤の一例(手術例)


2019年4月  文責 別所 竜蔵

心臓弁膜症

はじめに

近年、患者さんの高齢化が進み、心臓弁膜症の患者数も増加しています。その中でも、多くみられるのが大動脈弁狭窄症という病気です。心臓弁膜症?大動脈弁狭窄症?この耳慣れない病気についてお話します。

心臓の仕組みについて

心房細動の機序小学校の理科の授業で習った記憶があるかもしれませんが、心臓は全身に血液を循環させるポンプの役割を担っています(図1)。心臓の右側(右心系といいます)には全身で利用された血液(酸素が消費されています)が戻ってきます。右心房→右心室を経て肺に送られ、酸素が補充されます。この血液は、心臓の左側(左心系といいます)に送られ、左心房→左心室を経て大動脈へと駆出され、全身に酸素を届けます。心臓はこのポンプ作業を1日に約10万回も繰り返すので、効率よく作業を行う上で血液の流れを一方向に調整するために、心臓内の4つの部屋の出口にはそれぞれ弁という扉がついています。ちなみに左心室と大動脈の間にあるのが「大動脈弁」です。

心臓弁膜症について

大動脈弁狭窄症の自然歴心臓にある弁に障害が起き、本来の役割を果たせなくなった状態を「心臓弁膜症」といいます。弁の開きが悪く血液の流れが妨げられる「狭窄症」と、弁の閉じ方が不完全なために血液の逆流を起こす「閉鎖不全症」があります。原因には、先天性と後天性(リウマチ熱、動脈硬化、心筋梗塞、組織変性など)があり、原因を特定できないこともしばしばです。生活習慣病が増えている昨今、動脈硬化のように大動脈弁が硬くなり、うまく開かなくなる「大動脈弁狭窄症」が増えています。はじめは何の自覚症状もないために見過ごされることが多く、徐々に進行して三大徴候(胸痛・失神・心不全)が出現するようになります(図2)。未治療で放置すれば、突然死を引き起こす怖い病気ですが、手術で治すことができるので怖がる必要はなく、正しく診断されることが重要です。

治療について

心臓超音波検査心臓弁膜症は、息切れや動悸などの自覚症状以外に聴診の際の心雑音がきっかけで発見されます。そんな時は、心臓超音波(心エコー)検査を受けることをお勧めします(図3)。短時間で済む痛くない検査(繰り返しできます)ですが、「本当に弁膜症?」、「程度はどの段階?」、「手術が必要な状態?」といった診療を進めるにあたって重要な情報が得られます。心臓弁膜症は進行していくため、一度診断されたら定期的な診察や心エコー検査が必要です。初期の段階では薬を飲む内科的治療で対応できますが、進行した場合は心臓手術(開心術ともいいます)で根本的治療を行います。 確かに心臓手術は大掛かりですが、わが国の手術成績は極めて良好ですから、適切なタイミングを逃さず手術を受けられれば、正常な心臓の働きを取り戻し日常生活に復帰することができます。

むすびに

心臓弁膜症は、珍しい病気ではありません。 医療技術の発達のおかげで心臓弁膜症に対する診断も手術治療も進歩していますので、過剰に恐れず・安易に捉えず、心雑音があると言われたら心エコー検査を受け、正確な診断を受けることが大切です。

2017年4月 文責 藤井 正大

心房細動

心房細動ってなに?

心房細動(AF)は、60歳以上では100人に一人出現すると言われている比較的多くの方が罹患する不整脈です。心臓弁膜症に合併することが多く、この不整脈自体は致死的な不整脈ではありませんが、動悸に悩まされ、脳梗塞心不全の原因になります。

心房細動の機序

心房細動の機序心房細動の原因は未だ正確には分かっていませんが、肺静脈からの異常な興奮()や右心房、左心房における旋回する興奮が原因(矢印)と考えられています。

心房細動手術とは?

心房細動手術の標準的な術式はメイズ手術です。この手術は米国 ワシントン大学*で考案され、世界中に広まりました。
この手術によって、今まで治らなかった心房細動が治るようになったのです。

心房細動手術の目的は

  1. 不整な脈を規則正しくする。
  2. 心機能を改善する。
  3. 脳梗塞など血栓症を予防する。

ことです。

*日本医科大学 心臓血管外科は、いままで20年以上に渡ってワシントン大学に留学者を派遣してきており、お互いに切磋琢磨しながら世界の不整脈手術をリードして行きたいと考えています。

心房細動手術のコンセプト

心房細動手術の目的

  1. 肺静脈を電気的に隔離することで、異常興奮を遮断して、心房全体に伝導させない。
  2. 心房を切開することで旋回する興奮をブロック。
  3. 左心耳を切除して、血栓症を予防する。

以上のコンセプトから、心房細動の原因となる異常興奮を遮断することができます。この為、心房細動は治癒し、規則正しい洞調律に戻るのです。

 

心房細動手術の成績は?

日本医科大学で行われた心房細動手術(445例)の心房細動治癒率は“93%”です。術後脳梗塞発症率は “0%”です。

心房細動手術の低侵襲化を目指して

近年、外科用アブレーションデバイスを使用することによって、安全かつ侵襲が少なく行えるようになりました。日本医科大学は新しい心房細動手術を全国の各施設にWet Labなどで指導しています。

イメージイメージ

2013年8月 文責 石井庸介

“ストップ ザ 心房細動”

日本医科大学 心臓血管外科は日本における心房細動手術のパイオニアです。
我々は、慢性・発作性にかかわらず、全ての心房細動に対し、積極的に治療し、患者さんのQOL(生活の質)の向上に全力を尽くします。

 

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